障害者差別解消法 合理的配慮のポイント 平成28年4月1日に、障害者差別解消法(正式名称、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)が施行されました。この法律は、障がいを理由とする差別の解消を推進することを目的とし、「不当な差別的取り扱い」を禁止するとともに、障がいのある人が日常生活や社会生活で受けるさまざまな制限をもたらす原因となる社会的障壁を取り除くために、個別の状況に応じて行われる配慮(合理的配慮)を求めています(合理的配慮については、事業の目的、実現の可能性、費用負担等、さまざまな要素を考慮し、対話による相互理解を通して「過重な負担とならない範囲」で対応することとなっています)。 この資料は、廿日市市障がい者差別解消支援地域協議会用に、はつかいち福祉ねっとで集約した「実際にあったエピソード」と「合理的配慮のポイント」を整理したものです。ご提供いただいたエピソードを一部改編した上で掲載しています。 なお、合理的配慮は、障がいのある人(以下、「本人」という)の特性や事業者の規模、状況に応じて提供されるものであり、個別性が高いものです。掲載されている内容は、あくまで例示であることを理解いただき、今後みなさんが実際の場面で対応方法を考える際の参考にしてみてください。 はつかいち福祉ねっと 権利擁護ワーキング ポイント 一人ひとりの障がい特性によって対応方法は違うという認識を持つことが大切です。対応方法については本人や家族に事前に提案し、了解を得ることが大切です。 実際にあったエピソード 治療前、歯科医師が本人に丁寧に説明をしてくれた。(何をどういう風にして、どんな味がして、どのくらい時間がかかるか) 場面 病院 障がい 発達障がい 実際にあったエピソード 問診票に「自閉症です」と記入したところ、医師が絵カードを見せながら診察の流れを説明してくれた。 場面 病院 障がい 発達障がい 実際にあったエピソード 会社で、仕事の手順を書いてもらう等の配慮をしてもらったので、仕事がスムーズにできるようになった。 場面 職場 障がい 知的障がい 実際にあったエピソード 会社のシフト表を本人が見て理解できるように分かりやすく作ってくれた。そして、いっしょに声に出してチェックをしてくれた。 場面 職場 障がい 知的障がい 備考欄 視覚的な支援が必要な方の場合、「絵、実物、図などを使用する」「わかりやすい言葉や短い文で書く」など、個々に合った方法で説明することでスムーズに伝わることがあります。 実際にあったエピソード 将来のために、美容師さんに本人の苦手なバリカン使用をあえてリクエストした。通い続けるうち、本人、美容師さんの両方ともが慣れてきて、今ではバリカン、はさみでのカット、襟足剃りもできるようになった。 場面 お店(美容院)  障がい 発達障がい 備考欄 本人のペースに合わせて時間をかけて対応したことでスムーズな受け入れにつながったと考えられます。 ポイント 本人が周囲から「一人だけ特別扱い」と思われることのないように、事前に周囲の理解を得ることが大切です。 実際にあったエピソード 息子が病院の待合室で待つことができないということを理解してくれているので、早めに診察や血液検査をしてくれた。 場面 病院 障がい 知的障がい 実際にあったエピソード 病院で長時間待つのが難しいとわかると、診察の順番を早めてくれた。 場面 病院 障がい 知的障がい 備考欄 順番を早めることについて、周囲の方に口頭で事前に了解を得たり、変更になる場合があることを貼り紙などで周知する方法があります。 ポイント サポートが過剰になると本人の自立を阻むことになったり、周りの人と距離ができたりするので、一人ひとりに合った適度な配慮が大切です。 実際にあったエピソード 職場で順番に行なっているトイレ掃除当番を身体的につらいと感じていたら、自分に確認した上でトイレ掃除当番から外してくれた。 場面 職場 障がい 肢体不自由 実際にあったエピソード 週5日、1日4時間働く自信がないことを伝えると、はじめは週3日から少しずつ慣れていけるように提案をしてくれた。 場面 職場 障がい 精神障がい 実際にあったエピソード シフト制だが、週のルーティンがある方が気持ち的にも体力的にも安定するので、私の意見をきいて出勤時間や休みの曜日を固定してくれた。 場面 職場 障がい 精神障がい 備考欄 どの程度の配慮が必要かを本人に尋ねたうえで対応することが望ましいです。 ポイント 企業などでは、個々の社員による対応を大切にした上で、社員が共通認識を持って対応できるような体制整備が大切です。 実際にあったエピソード ICカードをチャージしたいと思いつつ、座席に座っている息子の傍らを離れられずにいると、車掌さんのほうから「チャージしますよ」と声をかけてくれ、本当に助かった。 場面 交通機関 障がい 知的障がい 実際にあったエピソード 駅で近くにいた社員さんに息子のトイレへの付き添いを頼むと、快く引き受けてくれた。(付き添いの家族が女性の場合) 場面 交通機関 障がい 知的障がい 実際にあったエピソード 観光バスを利用した時、乗降用の踏み台を準備してくれた。 場面 交通機関 障がい 肢体不自由 備考欄 マニュアル整備等により、企業全体で対応方法を統一することが望ましいです。 ポイント 本人から社会的障壁の除去を必要とされている旨の意思表明があった場合には、事業者は実施に伴う負担が過重でないときには合理的配慮の提供に努めなければならないとされています。 実際にあったエピソード 2階の入り口に階段で上がらなくてはいけないホテルで、従業員用のエレベーターを使わせてくれた。 場面 ホテル(旅行) 障がい 肢体不自由 備考欄 入り口付近の利用しやすい場所に顧客用のエレベーターが設置されることが望ましいです。 実際にあったエピソード 職場に和式トイレしかなかったので、使用が難しい旨相談すると「すぐに洋式へ変更することは難しいが、手すりならすぐに設置できる」ということで対応してくれた。 場面 職場 障がい 肢体不自由 備考欄 近いうちに本人にとってより利用しやすい環境をめざし、和式から洋式トイレへ変更されることが望ましいです。 発行 はつかいち福祉ねっと 権利擁護ワーキング お問い合わせ 廿日市市障がい福祉相談センターきらりあ 〒738-8512 廿日市市新宮一丁目13番1号 山崎本社 みんなのあいプラザ 3階 電話番号 (0829)20-0224 FAX(0829)20-0225 ホームページ http://h-kiraria.net/wordpress/